第四日 ホッホゥ。
さてさて、釘太郎が加わった家族。
とりあえず予言を成就させるために釘太郎に鳴いてもらわなくてはなりません。
三郎「釘太郎。」
釘太郎「にゃ。」
三郎「鳴いてみてはくれないか?」
釘太郎「にゃ。」
物わかりのいい釘太郎は畑の中央に行きます。
兄弟達は釘太郎を見守ります。
そして…
おもむろに地面に転がると一声鳴きました。
釘太郎「にゃー」
次郎「おおお!」
一郎「な、鳴いた!」
三郎「素晴らしい!素晴らしいぞ!釘太郎!」
三郎は釘太郎を抱きかかえます。
三郎「こ、これで予言は成就されたはずだぞ。」
一郎「ううむ。素晴らしい!さぁ。後は掘れば大判小判がざっくざくだ!」
次郎「兄者!父上に感謝しないとな!」
一郎「うむ!」
すっかり大判小判が出てくる物になってます。
地形が変わるくらいに掘っても何も出てこない事もあるのに…
裏の畑、ポチ(釘太郎)、正直じいさん(正直全裸)と三つそろったって所で
一郎達の畑仕事が続きます。きっと掘ってるうちに何か出てくるのでしょう。
一郎「さぁ!もう一頑張りだ!」
次郎「うむ!」
四郎「兄者、どれくらい大判小判が出てくるのか楽しみだな。」
次郎「うむ。待ちきれぬな!」
ざっくざっくと掘り進める一郎。
と、そのクワの先に何だか異質の感触が当たります。
カツン
一郎「ぬぬっ!?」
あわてて手で掘り返す一郎。
そこには古びたランプがありました。
一郎「おお!これは!?」
次郎「ん?兄者。何かあったのか?」
一郎「妖しげなランプが…これが…!」
三郎「ううむ!間違いない!父上が言っていたのはきっとこれに違いない!」
次郎「やった!ついにやったぞ兄者!」
一郎「うむ!みんなのおかげだ!」
畑の隅に集まる兄弟。
三郎「ほう…これが…」
四郎「本当に出てしまったな…」
ランプを眺める兄弟。あまり高そうには見えません。
次郎「ふうむ。これがどれくらいの価値になるのだろう…」
次郎はこびりついた土をこすり落としました。
と、その時です!
ぼわわわわわーん!
ランプから煙がもくもく出るとランプの精が出てきました。
次郎「おお!」
次郎は驚きます。
煙から実体化した魔神はゆっくりと目を開いて次郎を見下ろします。
次郎「ううむ。何だか妖しい!」
魔神「全裸が人の事言えるかよ…」
素で答える魔神。
四郎「な!なんと失敬な魔神!」
四郎「次郎兄者。もしかしてこのランプの精が大判小判をくれるのではないか?」
次郎「なるほど…魔法で大判小判を…」
一郎「素晴らしい…」
ひそひそと語り合う兄弟。
そして次郎は魔神に向かって言います。
次郎「大判小判をざっくざくとくれ。」
魔神はじっと兄弟の会話をみていましたが、何も答えません。
次郎「…?」
魔神「…」
次郎「願いは大判小判がざっくざく!」
魔神「しらん!」
魔神は一喝します。
次郎「お、おおぅ!!」
魔神「勝手に掘り起こして願い叶えろって勝手すぎないか?こっちの都合考えた事あるのかよ?」
次郎「しかしランプの魔神は普通願いを叶える物ではないのか?」
魔神「決めつけるな。つうかそんな都合の良い事はサンタにでも頼んでくれ。」
次郎「むむむ。異教徒の習慣に頼っても良いと思ってるのか?」
魔神「ふざけんな。こう見えても俺はキリスト教徒だ。」
次郎「そうは見えないぞ…」
魔神「人を見かけで判断するな!全裸のくせに!」
次郎「な!なんと失敬極まりない!」
魔神「とりあえず寝る。いいか。詰まらない用で起こしたらぬっ殺すぞ。」
次郎「なんと!」
ぼわわわわーん…
次郎「ううぬ!待て!待て魔神!」
魔神はランプの中に戻っていきました。
呆然とする兄弟。
次郎「…兄者。」
一郎「ううむ?」
次郎「どうしよう…」
一郎「ううむ。ううむ。魔神は見なかった事にするのがいいのでは無いだろうか…」
四郎「やはり…ランプ自体が高く売れると言う訳か。」
三郎「うむ!これ自体に骨董的価値があるのかも知れぬな!」
一度は意気消沈した兄弟も、ランプ自体が高く売れる可能性を思い出してウキウキです。
次郎「うむ!早速売ってみよう!」
…この兄弟、とりあえず見つけた物やもらった物は売るって習慣がついてるんでしょうか。
ではここで代理で作者が売りに行きます。
えーっと。売価は…$110。
一郎「何!?」
次郎「$110!?」
四郎「…二日分の食費…。」
三郎「………。」
またもや重苦しい沈黙。
父上は二日分の食費のために枕元に立ったのでしょうか?
四郎「兄者…」
次郎「四郎弟者…」
四郎「どうしよう…」
次郎「ううむ…ドナドナ?」
一郎「…いや。止めておこう。」
またもや悲しい結末。
父の予言は成就されなかったようです。
一郎「…とりあえず畑を作ろう。」
悲しみを農作業で癒す兄弟。
しかしさすがに二日ぶっ続けての農作業は無理です。
今日は適当なところで切り上げて家に戻りました。
そういえば今日はクリスマス(って時期すぎちゃってるけど気にしない。)です。
さっきの魔神の勧めもあったので、ほがらか一家でもクリスマスツリーとサンタさん用のクッキーを用意して眠りました。
次郎「サンタ様…大判小判を…なにとぞ…」
三郎「…ネコという物はですねぇ…」
一郎「…父上…」
四郎「…今日はあまり突っ込めなかったな…Zzz…」
さて、夜も更けた頃…
いつの間にか出来ていた暖炉前に謎の人影が現れました…
ビュイィィィィィーン
サンタ「ハァイ。メリークリスマス。ホッホゥ。」
サンタさんです!よいこのためにプレゼントを持ってきてくれたのです!
って最近のサンタはテレポートしてくるらしいみたいですね。
そんな事はどうでも良いです。全裸で無職だけど善良な兄弟のためにサンタさんが来てくれました。
魔神とは大違い。
ビバ!(素晴らしい)サンタ(サンタクロース)!ビバ!サンタ!
会場を埋め尽くした観衆のビバの声は鳴りやみません!(どこに観衆いるか不明)
とりあえず目的地に着いたサンタさんはあたりを物色します。
って…嫌な言い方だなぁ。
あたりを見回して兄弟の用意しておいたクッキーを見つけます。
サンタ「?オゥ!ホッホゥ!」
そして一気に喰らいつきます。
サンタ「ンー。ホッホゥ。」
息もつかずに一皿分のクッキーを平らげるサンタさん。
しかもその皿を床に置いてほっといてしまうサンタさん。
ゴト…
ちょっと不作法ですけどその辺は気にしないでおきましょう。
サンタ「んげふ…。ホッホゥ。」
満足のサンタさん。いよいよ仕事の開始です。
家の外に飾ってあるクリスマスツリーに向かいます。
サンタ「オーゥ。ホッホゥ。」
クリスマスツリーに感動するサンタ。
ゴトゴトとプレゼントを置いていきます。
ちょっと暗いけどビリヤード台までくれたようです。
随分と豪勢ですね。でもどこから持ってきたのでしょう。
さらに家族分のプレゼントの小包を置いていくサンタさん。
サンタ「ホッホゥ」
…ってホッホウしか言わないのか。
サンタ「メリークリスマス。ホッホゥ。」
あ、メリークリスマスが増えた。
サンタ「ホッホゥ。」
結局サンタさんはビリヤード台+ほがらか一家4人分+釘太郎分のプレゼントを置いていきました。
一仕事終わったサンタさんはカメラ目線で手を振ります。
サンタ「ホッホゥ!」
次のおうちでもホッホゥって言ってるんでしょうか。
今夜だけ忙しいサンタさんはまたまた暖炉前からテレポートしていきました。
明日の朝、ほがらか一家の喜ぶ顔が目に浮かぶようです。
きっとサンタさんはこんな喜びのために働いているんでしょう。
んでは次のページへ。ホッホゥ。