第二日 全裸の秘密。

 

一郎たちがのぞき込んだ新聞。

そこには…こんな求人が載ってました。

 

急募!タクシードライバー

職種名 - タクシードライバー(600馬力のモンスターマシンを操る楽しいお仕事です!)
PRポイント - 初心者でも安心!無免許でもOK!私服勤務OK!(ジーパン不可)
勤務時間 - 10:00から20:00
年齢 - 働けるなら何歳でも!
給与 - あなたの想像以上!
交通費 - 全額支給!
待遇 - 素晴らしいです!
応募資格 - 元気とやる気と愛しさと切なさと心強さ!

 

 

 

一郎「…ううむ。」

太字で書かれている部分が心配です。

一郎「ジーパン不可…もしかしたらジーパンだけが不可なのかもしれない。」

三郎「全裸はOK!と言う事だろうか?」

次郎「うむ。そうに違いない。」

 

とてつもなく極論の人々。

 

三郎「そうだな兄者。条件はすべてクリアしてるのだし、会社に聞いてみるのはどうだろうか。」

一郎「うむ。では四郎弟者!」

四郎「なんだ?一郎兄者。」

一郎「早速電話してみてくれ。」

四郎「心得た。電話をかけてみよう…しかし緊張するな。みのに電話して練習すればよかった…。」

 

みのに電話するつもりだったのか。四郎。

 

緊張する四郎を心配して次郎が声をかけます。

次郎「四郎弟者。大丈夫か?ついて行ってやろう。」

四郎「うむ。すまぬ。次郎兄者。」

…さて、今回もパシリに使われる四郎。

末弟の悲しみをほんのりと感じますが彼はそんな事気にしてないのでしょうか…

 

 

意気揚々と電話へ向かう四郎。

それを追って次郎もスタンバイします。

 

四郎「よし!かけるぞ!」

次郎「うむ!がんばれ!」

四郎「………よし!」

電話をかける四郎をじっと見つめる次郎。

次郎「ジーーーーーーー…………」

ちょっとプレッシャー。

四郎は震える指先でダイヤルします。

その間も次郎は凝視。兄の愛情ビームを目から飛ばそうとしてるかのようです。

 

こらえきれずに受話器を押さえて四郎は言います。

四郎「…次郎兄者。結果を待っててくれないか。」

次郎「どうした?兄の愛はいらぬのか?」

四郎「いや…ちょっと…愛が重荷。」

次郎「う、うむ。無念だ。では向こうで待つ。」

次郎は素直にテーブルに戻ります。

 

 

 

受付嬢「はーい。お待たせしましたー。こちらシムタクシー株式会社ですー。」

四郎「新聞で求人を見た者です。」

受付嬢「はーい。面接ですかー?」

四郎「一つ聞きたいのですが。」

受付嬢「どーぞー。」

四郎「勤務中の服装はジーパン以外なら大丈夫ですか?」

受付嬢「ええ。」

四郎「全裸はだめですか?」

受付嬢「…はい?」

四郎「全裸なんですけど…だめですか?」

受付嬢「……だめです。」

ガチャ

 

 

 

 

玉砕

 

 

 

四郎「…なんてこった…。」

 

 

四郎は肩を落として戻ります。

 

 

四郎「…またせたな。兄者。」

次郎「おお。四郎弟者。それで結果は?」

四郎「うむ。…全裸はいかんとの事だ。」

兄者「な!なにぃ!!」

次郎「全裸にならない運転手を求めていたという事か。難しいものだな。」

四郎「一郎兄者…電話中に思ったのだが…」

一郎「ん?四郎弟者。どうした。」

四郎「服を…着ればいいのではないか?」

兄者「!!!!!」

次郎「そうか!そうだ四郎弟者!素晴らしい着眼点だ!」

四郎「いや…その…。」

三郎「うむ。服を着れば全裸ではなくなる!」

一郎「四郎弟者!素晴らしいぞ!」

四郎「つうか…何故我々は全裸なのだ?兄者」

次郎「素晴らしい素晴らしい!」

兄者「ウァーハッハッハッハ!」

四郎「…なにか隠してるのか?」

一郎「よし!善は急げだ!早速服を買いに行ってくる!」

次郎「おお!任せたぞ!一郎兄者!」

四郎「なぜ全裸…?」

四郎の疑問を解決しないまま、一郎は席を立ちます。

何か秘密があるのか?

(いや。多分無いと思う。)

 

一郎はタクシーを呼んで颯爽と買い物に出かけます。

さてさて続きは次のページで。

 

 

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